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2015-07-27

日記

夏目漱石『門』を読んだ

せっかくなので読書感想文的なフォーマットで

門をさきほど読了した。私はあまり本を読む質ではないのだが、これを読むキッカケは、今年の春に帰省した折に聞いた、小学生の頃に大変世話になった先生の言葉だった。私は昨年度留年しており、もう一度単位を落とすと大学を追い出されるという立場にありながらのうのうと日々を過ごしていた結果、他の学生たちが春休みを謳歌する中、2月いっぱいと3月に足を掛けての壮絶な進級劇があった。その話がなかなかどうして劇的であり、土産話として持ち帰って話したところ、その春休みの暮らしぶりを聞いて、「まるで漱石の門みたいだ」と言ったのだ。ただし、続けて「たぶん読んでもよくわからないと思う。私もあなたくらいのときに読んだけどさっぱり意味が分からなかったし、別にオススメってわけじゃないよ」と言った。それを聞かされたまま札幌に戻り、新学期が始まってほどなくしたころ、どうしても気になって古本屋で手にとってみたわけである。

大学のすぐそばに居を構え座って過ごす通学時間などなかったため、なるべく鞄に潜ませてことの合間にちびちびと読むというスタイルになり、読み終わるまで二ヶ月くらいかかった。物語のここがこうだ、という感があるような話ではないため、かかった時間相応の達成感がただ大きかった。そして内容にあれこれというより、もう少し自分が若かったらそもそも読むのに飽きていて、それなりに興味深いと思うこともなかっただろうと思った。

高校生のときは、辻仁成や江國香織などをよく読んだ。10代の私は、彼らの物語から漂うオトナの臭いみたいなものをちょろっと嗅いで、憧れのようなものを心の内にムラムラとさせることを愉しんだ。


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